久々に感想文

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)

十三妹(シイサンメイ) (中公文庫)

 たいじゅんさんの十三妹。シスプリの続編じゃないぞ! 1965年に朝日で連載されていた作品だけれど、ユーモアあふれてて楽しい。中国という土地と中華という文化のもつ荒唐無稽さと楽しさを存分に堪能でけた。
 十三妹(シイサンメイ)という中国全土に名を轟かせる女忍者が跳梁跋扈したも今は昔、名家・安家の御曹司である安公子の第二夫人として嫁いだ十三妹、否、何玉鳳は、平々凡々な日々を過しておった。が、しかし、大陸にその名を轟かせた十三妹の名は本人のあずかり知らぬ所で、尾ひれ背びれを引っ付けて、あっちこっちに一人歩きし、現役引退した彼女の意に関係なく依然として「有名人」であった。
 そんな折、科挙合格を目指してがり勉を続ける旦那の安公子に降りかかる様々な不幸や厄介ごと、はたまた自分をライバル視する盗賊、錦毛鼠こと白玉堂のちょっかいを、鍛えに鍛えた忍者技で快刀乱麻を断つがごとく解決していく――
 という、痛快活劇は物語の半分くらいでえ。大体は元忍者の嫁にびびる旦さんの悲哀に終始している気がする。情けない男、安さん。けどまあ嫁さん怖すぎで仕方ないといえば仕方ない。終わりはちょっと不吉な予感を抱かせる感じですが、どうも続編に引き継がれる部分だった模様。まあ続きを書くことなく、たいじゅんさんはお亡くなりになったのですが、残念。まあ、しかしあれだな。十三妹の魅力はその謎めいた横顔と容赦なく首を切り落とす二面性にあるとして、それはさておき、第一夫人の張金鳳、めっちゃ萌え、ということで。